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アジャイルなブランドの作り方



Crowdless (クラウドレス)は、イギリスでコロナウィルスの大流行を機に生まれたアプリケーションで、スーパーマーケットやレストランなど、場所の混雑度を教えてくれます。2020年4月下旬に発売され、発売後2ヶ月で6万人以上のユーザーをイギリス、スペイン、イタリア、ドイツで獲得しました。


Crowdlessの成功は、「ブランドパーパス」と「アジリティ(機敏性)」の2つにあります。


Crowdlessは、アフガニスタンで創業者たちが働いた経験から、紛争地域を避けるためのアプリを作ったのが最初の始まりです。ここから、彼らは「人々の情報に基づいた意思決定を助ける」というブランドパーパスに辿り着き、そこから逆算してサービスを開発したのです。つまり、ブランドパーパスを北極星(起点)として、これがパンデミックの文脈でどのように解釈できるかを感じ、聞き、サービスの需要を確かめました。


サピエンスの著者であるユヴァル・ノア・ハラリは、「実際に存在しないものについて語ることができるのは、ホモ・サピエンスだけである。(中略)空想できる能力は、単に物事を想像するだけでなく、それを集団で行う能力も授けた。」と言っています。想像とは、なんと幸運で魅力的な能力でしょう。私たちはこの特別な能力を活用し、サービスを使う人々の日常を想像し、新しいものを一緒に作り上げるべきなのです。

次に、彼らは機敏性に飛んでいました。彼らは3日で試作品を完成させ、市場に投入しました。そして、試行と改善を繰り返し、アイデアを出していきました。このままロックダウンが続かず、早く元の生活に戻りたいと誰もが願っています。つまり、テクノロジーが発達した世界では、Time to Market(市場投入までの時間)が競争力の源泉となるのです。


ブランドパーパスやアジリティがない場合、どう生み出すことができるのでしょうか?

ブランドパーパスを考えるのに、ロックダウンは立ち止まり一歩引き下がって、組織の存在理由を再考する、絶好の機会です。ブランドパーパスは、オペレーションレベルよりもはるかに大きなもので、何十年、場合によっては何百年も生き続けることができます。

まずは世の中の課題と、これまで蓄積してきた組織の独自性に目を向けることから始めましょう。この2つが重なり合う所が、自分たちが目指すものを探る出発点となるでしょう。


アジリティ(機敏性)を広めるには、ブランドパーパス(存在目的や意義)が有効です。アジャイルである方が良いと思わせる、説得力のある理由を示すことができます。人は一般的に、変化することを好みません。したがって、「なぜ」は、マインドセットを変えるのに強力です。またブランドパーパスは、年齢、肌の色、宗教を問わず、人々の心を動かすようなものでなければなりません。


加えて、組織の内部構造を作ることも重要です。


アメリカ格安航空会社のジェットブルーは、電子メール、SMS、テキストメッセージ、さらにはFacebookやTwitterなど、すべてのコミュニケーションチャネルを組み合わせる技術力により、お客様対応案件を一箇所に集約、手荷物の紛失、遅延、フライトのキャンセルなど、お客様の旅を可能な限り「リアルタイム」にサポートすることを目指しています。


アジリティ(機敏性)によってブランドは顧客との距離を縮めることができ、それによって信頼性と主体性を高めることができると見ています。そして、アジリティを実現できた理由は、多くマネージャーを多く持たないシンプルな組織構造です。これにより、現場のスタッフ一人一人が自律的に、共感を持って迅速なサービスを提供できるようになりました。


ブランドパーパスは長期的に役立つものであり、アジリティは一朝一夕に築けるものではありません。しかし両者への投資は、危機を乗り越えて成功するための、弾力性と革新性のある経営基盤を作るのです。



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