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  • Shiho

デジタル時代の顧客体験



質問:21世紀にデジタル化を加速させたのは?

A: CEO(最高経営責任者)

B: CTO(最高技術責任者)

C: コロナウィルス


私たちはコロナ禍で必要に迫られ、デジタル化を進めざるを得ませんでした。デジタル化は、ポストコロナでも多くの組織が投資する重要な戦略であることは間違いありません。人間は24時間365日活動可能ではなく、生産的に働くためには、安全性や良好なチームコミュニケーションなど、多くの条件を必要としますが、機械はこれら全てを要求しないからです。


デジタル時代の顧客体験をデザインするポイントは何でしょうか?アウトサイド・インのアプローチで、お客様にとっての新しい生活様式がどうなるかを想像してみましょう。


カスタマージャーニーの始まりから終わりを通じ、   どうブランド価値の最大化を実現できるのでしょうか?

消費者の安全に対する意識は、更に高まっています。例えば、現金は誰が触ったのかわからず、好ましい選択肢ではありません。また、空港スタッフによるセキュリティチェックや手荷物の預け入れも、見知らぬ人と接近することに抵抗があるため、理想的ではありません。


実は、現在人間が提供している多くのサービスは、機械に置き換える(自動化)ことができます。機械がカスタマーエクスペリエンスを向上させることなど、これまで考えたこともなかったというのが実情でしょう。加えて、人間の方が機械よりもはるかに優れたサービスを提供できる顧客タッチポイントも見つかるはずです。



顧客体験のマッピング


では、機械ではなく人間が対応したほうがよいタッチポイントは、どのように選べばよいのでしょうか。

お客様の立場に立って、エンド・ツー・エンド(E2E) のカスタマージャーニーを検討し、人間が特に価値を創造できる体験をマッピングすることがその有効な方法です。


例えば、スターバックスでは、機械を活用しバリスタを助けています。スターバックスのDeep Brew、AIエンジンは、顧客それぞれへのオススメを強化することを目的としています。AIは、注文の際の、個々の好みを記憶したり、天候や場所など顧客が置かれている状況を考慮したりすることで、バリスタがより多くの時間を見つけて顧客一人ひとりと関わることができるようにしています。



「目に見えないもの」を記憶に残すためには?


デジタル化により、物理的な交わりが少なくなり、お客様が商品やサービスを信頼したり、体験を記憶したりすることが難しくなってきています。現金を使った時のように、財布が薄く軽くならないオンラインショッピングで浪費しやすいのは、その一例です。


このようなマイナスを補う方法があります。


まず、明確なブランドの存在意義、提供サービス、個性を起点に、一連の体験を一貫してデザインすることです。それらを時間や場面を変えて繰り返し見せることで、お客様は点と点を一本の線として捉え易くなります。首尾一貫していることで、ブランドを人間らしくすることができます。


例えばUberは、「世界を動かすことで、機会を創る」というブランドの存在意義に沿って行動することに成功し、顧客の心の中にブランドを形成しています。サンフランシスコを皮切りに、現在では600都市、390万人のドライバーがサービスを提供しており、ストレスのないタクシー注文・決済システムにより、手頃な価格でサービスを提供しているのです。


2つ目は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の5つの感覚を最大限に活かす方法です。例えば、WindowsやAppleは、ラップトップの電源を入れる際聞こえる音をデザインすることで「オーディオ」ブランディングを行っています。また、香りを使ったブランディングも考えられます。シンガポール航空は、ローズ、ラベンダー、シトラスをブレンドした「ステファン・フロリディアン・ウォーターズの香り」の温かいタオルで知られています。



体験の共有の価値


デジタル化が進んだからといって、人々の交流が減ることを人々は望んでいるわけではありません。デジタルプラットフォーム上で、他人と意見を共有する方法を探そうとするように、むしろ社会的な距離を置くことで、私たちがいかに社交的であるかを再確認することができます。例えば、Zoomは、ロックダウン中に一緒に歌ったりしたり、お酒を飲んだり、ゲームをするプラットフォームになりました。


コミュニティを作る上で成功の鍵となるのは、報酬や認知に関わる人間心理や行動を活用することでしょう。Amazon Vineプログラムは、最も信頼のおけるレビュアーのコミュニティーで、新製品/発売前の製品にコメントを投稿してもらうものです。彼らは原則として、お客様からのレビューの参考になるかどうかで選ばれます。アマゾンはこのスキームの構築を支援しましたが、一旦開始されると、その運営方法、成長、独自の価値創出については、コントロールされることなく全てのコミュニティーの手に委ねられています。


新しい生活様式は、文字通りまだ新しいものです。しかし、消費者側から遡って考えていけば、どうブランドとして適応していくかはそれほど難しいことではありません。


デジタル化は人間の敵ではなく、むしろより良い体験をサポートするものです。そして、まずお勧めしたいのは、信頼され、記憶に残るような一貫したサービスを提供すること、そしてお客様同士で体験を共有するためのコミュニティを作ること、に注力することです。




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